子供の宝物Ⅵ

「今からトパーズの取り方を説明するから集まりなさい!」

早く探したくてむずむずしている子ども達を、少し落ち着かせる意味もあって、ゆっくりと告げた。

「まず、川底にたまった砂利をスコップで取り、ザルにあけてキラキラした透明なものを探します。」「トパーズは重たいのでなるべく深いところにある砂利をとった方が見つけやすいです。」そう言って、まずはデモンストレーション。

「こうやって、明るいところで探すと…! ほら、本当に有った!」

わずか一回のデモンストレーションで、いきなりトパーズが見つかるとは、私自身予想もしていなかっただけに、喜びもひとしおだ。

子ども達も「スゲー!」「きれい!」「ぼくにも見せて!」と興奮している。

ただ、こんなに簡単に採集できると思われても困るのだが。

「トパーズは、横に状線がある水晶と違って、縦に状線があり、しかもその状線に対して90度で割れる完全な劈開が有ります。結晶は斜方晶系で硬度は8、比重は3.5~3.6です。」もし、こんな説明を初めにされたら、意味もわからず、むしろやる気が失せてしまうかもしれない。

自転車の練習を始めるのに、初めに理論を教える人はいないのと同じだ。

だから、まずはやってみせる。そしてすぐにやらせてあげる。

やっている中で、黙っていても子供は色々な発見をし、疑問を持ち、興味を広め深めていく。本物の体験であればあるほど、こうした効果は絶大だ。

その意味では、まさに自然は最高の教師であり、そうした教師に出会える事は、子供の人生にとって、貴重な宝物となるに違いない。